① きっかけについて

私がはじめて精子提供を行ったのは2014年の初旬です。

相手は音楽イベントで知り合ったレズビアンカップルで、とても仲の良いカップルでした。

彼女たちは、将来結婚を考え、子どもを授かりたいと強く望む、ごく普通の新婚前カップルとなんら変わりませんでした。

そんな彼女たちと私は、音楽の趣味や人生に対する考え方などがとても合い、気がつくとプライベートの話もなんでもできる仲になっていました。

あるとき彼女たちから相談があると喫茶店に呼び出されました。

はじめは音楽の話など、たわいのない世間話をしていました。いつものようにとても楽しい会話で、彼女たちから相談があることはすっかり忘れていました。

そんな中、一息ついたところで彼女から相談の内容が語られました。

それは、将来、どうしても子どもが欲しく、私に精子を提供してくれないか。という内容でした。

はじめは、何を言っているのかさっぱりわからなく、いいよ。と即答はできませんでした。

しかし、彼女たちの子どもの欲しさは私にとても伝わっていたので、この日は少し考えさせてほしいと伝えました。

そして、帰宅後、LGBT含む性的マイノリティについて、精子提供の現状について徹底的に調べてみました。

そこでわかったことは、子どもが欲しいのに作ることができない性的マイノリティの方がとても多いという事実でした。

またこの時から、結婚をしないで自分の意思でシングルマザーになることを決意する選択的シングルマザー「SMC」という方たちも知ることができました。

世の中、あまり知られてはいませんが、子どもを作りたくても作れない方たちがたくさんいる。その事実を知ってからレズビアンカップルの友人からの精子提供の依頼の返事をノーと言うことはできませんでした。

これが、私のはじめての精子提供です。

精子提供はシリンジを用いて行いました。

彼女の排卵日付近に合わせ、精液を採取して提供しました。

最初の数ヶ月は全く妊娠しませんでした。私に問題があるのかと精液検査を受けてみましたが、異常はありませんでした。

そして、あきらめかけてた提供開始から6ヶ月後になんと、彼女から「妊娠したかも」というメールが入り、そこには、陽性結果が出た妊娠検査薬の画像も添付されていました。

私はこのとき驚きのあまり、目の前の事実を信じ切ることができませんでした。

スマホを投げ捨て、冷静になるまでベッドに横たわり深呼吸をしました。すると、不思議と喜びがじわじわと涌き上がってきました。

そしてすかさず、スマホを手に取り彼女たちに電話をかけました。

電話に出た彼女は私以上に喜んでおり、その喜びの声を聞いた私はさらに嬉しく思い、気がつくと目には涙がにじんでいました。

後日、産婦人科にて妊娠が確認されました。そして2015年2月、3045gの元気な女の子を無事に出産しました。

そして、現在もお子さまは健康すくすく育ち家庭生活を送っています。

私は彼女たちに精子提供を行って本当に良かったなと思っています。

この機会が無かったら、子どもが欲しくても授かることができない、マイノリティの方たちのことを知ることができませんでした。

そして、このようなマイノリティの方たちに精子提供を通して、貢献したいと強く思うことはなかったでしょう。